答えは「iOSアップデート」だった。そこに辿り着くまで5時間半

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9:00、箱は予定どおり届いた

朝9時、iPhoneが届いた。ahamoへの乗り換えと同時に、ドコモで買った新品だ。家族の分の回線で、手続きと初期設定は私がやった。

ここまでは何も問題がない。むしろ気持ちがいい。届く日も、届く時間も、事前の案内どおりだった。段ボールを開けて、フィルムを剥がして、電源ボタンを押す。この一連の動作が好きな人は多いと思う。私も好きだ。

データ移行は、褒めるところしかない

旧端末を隣に置いて、画面の指示どおりに進めるだけでいい。

1時間かかった。でもこれは「手間」ではなく「待ち時間」だ。その間、こちらは何もしなくていい。アプリも、写真も、パスワードも、認証アプリの中身まで、勝手に向こう側へ渡っていく。ここは本当によくできている。文句のつけようがない。

10時。新しいiPhoneが、昨日までの自分のiPhoneになった。

ここで終わっていれば、この記事は存在しない。

圏外

画面の左上に、キャリア名が出ない。

厄介なのは、Wi-Fiが通っていることだ。だからメールもチャットもブラウザも普通に動く。動いてしまうから、気づくのが遅れる。通信できているのに、電話としては死んでいる。 この状態は直感に反する。

モバイルデータ通信をオンにしようとする。オンにならない。というより、オンにする対象そのものが存在しない。eSIMは端末に入っているはずなのに、回線として立ち上がっていない。アクティベートされていない。

素人が思いつくことは全部やった。再起動。機内モードのオン・オフ。設定のモバイル通信を上から下まで確認。

左上は圏外のままだ。

ドコモに電話して、1時間

まず、「携帯が使えない」という問い合わせを、携帯以外の手段でやることになる。 当たり前だと言われればそうだが、乗り換え当日に手元の端末が使えなくなる可能性を、この導線は織り込んでいない。

1時間、話した。

結論は「こちらでは解決できませんので、ショップへお越しください」。

あとから振り返って一番こたえたのは、この1時間のなかに、のちに正解になる質問がひとつも含まれていなかったことだ。1時間かけて、最初から一番近くにあった選択肢に案内されただけだった。

そして、この時点で午前が終わっている。

12:45、ショップに着く。対応開始は13:30

土曜日である。予約が空いているわけがない。回線が使えないまま数日待つ選択肢もない。仕事の連絡も、二段階認証のSMSも、全部そこを通っている。乗り換えというのは、生活のインフラを片足で支えながら架け替える作業だ。 途中で止まると、止まった場所で全部が詰まる。

だから予約なしで行った。来店対応、つまり待つということだ。

12:45到着。順番が来たのは13:30。45分。

店頭で、試せることは全部試した

  • 再起動
  • 機内モードのオン・オフ
  • Wi-Fiのオン・オフ
  • eSIMの削除 → 再投入
  • もう一度、eSIMの削除 → 再投入

全部だめだった。

ひとつだけ先に書いておく。eSIMの再発行には手数料がかかるのが普通だが、このときは費用が発生しなかった。 店員さんの判断だ。この記事は怒りながら書いているが、ここは素直にありがたかったと書いておく。

店員さんがAppleに電話してくれた

自分たちの手札が尽きたところで、店員さんがその場でAppleに連絡を取ってくれた。

Appleから、対処手順がメールで送られてくる。開いてみると、ありきたりな内容だった。すでに全部やったことばかりで、当然、全部だめだった。

そしてApple担当者の最後のひとことがこれだ。

「iOSをアップデートして、それでもだめならもう一度お電話ください。」

店員さんと顔を見合わせた。アップデートしてもね、と言い合った。この時点で4時間以上、思いつくことを潰し続けたあとだ。OSのバージョンで直る問題だとは、正直どちらも思っていなかった。

言いつつ、やった。ほかにやることがなかったからだ。

立った

アップデートが終わるのを待つ。終わったところで、店員さんがもう一度チェックする。

立ちました。

111にかけて、通話も確認できた。

14:30。長かった。

原因は、OSが古かったこと

まとめるとこうだ。

同じ会社が、同じ日に、端末と回線をセットで売った。その端末は、その回線を掴めないバージョンのOSで出荷されていた。

新品の箱に入って届いた端末の中身が、古かった。在庫が寝ていた、ということだ。それ自体は、まあ、起こる。責めても仕方がない。

問題は、誰もそれを疑わなかったことのほうだ。

5時間半のうち、必要だった時間

時間 内容 必要だったか
9:00–10:00 データ移行 必要
10:00–12:00頃 自力の切り分け+ドコモに電話1時間 不要
12:45–13:30 ショップで待つ 不要
13:30–14:15頃 店頭で全部試す+Appleに問い合わせ 不要
14:15–14:30 iOSアップデート 必要

正味で必要だったのは、データ移行とアップデートだけだ。残りの4時間近くは全部、「OSのバージョンを見よう」と誰も最初に言わなかったことの代金として払っている。

しかも、最後にそれを言ったのは3社目だった。ドコモの電話窓口でもなく、ショップでもなく、Appleである。

怒っている先

店員さんではない。あの人は自分の手札を全部使い切ったうえで、他社に電話をかけ、手数料も取らなかった。Appleのオペレーターでもない。結果的にあの人だけが正解を持っていた。

怒っているのは設計に対してだ。

ahamoは安い。安いのはサポートを削ったからで、それは契約時に理解して選んだつもりだった。

ただ、私が「理解したつもり」だったのは、困ったときに人に聞けないことだった。開通そのものが完了しないことではない。

サポートを削るのは構わない。だが、削るなら条件がある。

サポートを削るなら、サポートが要らない状態で開通が完了しなければならない。

いまはこれが逆になっている。オンライン完結を前提に設計された商品が、オンラインで完結しなかった瞬間、いちばんアナログな窓口へ客を投げ返す。しかもその窓口は、この商品の客が来ることを人員計画に入れていない。だから土曜は45分待ちになる。

安さの対価としてサポートの薄さを引き受けたのは、こちらだ。それはいい。なのに、失敗したときのコスト——電話の1時間、移動、土曜の45分、店頭の1時間——まで、こちらが払っている。削ったのは会社で、負担しているのは客だ。 ここが気に入らない。

同じ症状の人へ

乗り換え直後にモバイルデータがアクティベートされない、圏外のままになる。同じところにいる人に、これだけは言っておきたい。

  1. 何より先に、iOSのバージョンを見る。 設定 → 一般 → 情報。古ければ、まずアップデートする。私はこれを最後にやって直った。最初にやるべきだった
  2. eSIMの削除・再投入は、効かないことがある。 そして自分でやると再発行手数料がかかる場合がある。削除する前に、店頭や窓口で費用の確認をしたほうがいい
  3. 開通確認は111にかける。 無料の通話テストで、回線が生きているかすぐ分かる
  4. 電話サポートが1時間を超えたら、それは電話で解決しない問題だ。 早めに切り上げて、端末を持って動いたほうが早い

最後に

新しいiPhoneは、いま普通に動いている。速いし、きれいだし、買ってよかったと思っている。

ただ、開封から通話確認まで5時間半かかった日のことは、たぶんこの端末を使っているあいだずっと覚えている。

安さを選んだ自覚はある。でも、箱を開けたら中身が古かったぶんまで、こちらの自己責任ということにはならないと思う。

そもそもなぜahamoにしたのか

開通で5時間半を溶かした話をしたが、それでも契約したのは端末代の計算が合ったからだ。

同じ機種を、半年ちがいで2回契約している。 1台目は私の分で、端末の2年負担は24円だった。2台目がこの記事の回線で、22,024円。差の22,000円は2026年3月に新設された費用による。

22,000円がかかると分かったうえで2台目を契約した。 178,552円の端末が22,024円で2年使えるなら、まだ安いと判断したからだ。その計算と、成り立つための4つの条件は別の記事にまとめた。

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